
テレビで、片付けられない人の住まいを放送しているのを見る度に、
世の中にはこういう状態で暮らすことを厭わない人って本当にいるのだろうか、
やらせじゃないのか?と半信半疑だった。
まさかねぇ
あんな状態で暮らせるわけないよな
きっと演出だよ
ずっとそう思っていた。
仕事柄、いろんなお宅を訪問している。
多い時は一日に5軒くらい訪問してパソコンの設定や、
トラブルの修復を行っている。
最近になって自分の常識が通用しない見事な汚部屋に遭遇した。
場所は東京都下某市の閑静な住宅街の一角にあった。
およそ百坪はあろうかと思われる広い敷地に、築30年は経過
しているであろうかと見受けられる二階家だ。
玄関を開けて入ると目に飛び込んできたのは、正面の階段の両脇に
乱雑に積まれた書籍や郵便物の山だった。
階段の真ん中だけ歩けるように避けられていた。
依頼人はちょっと散らかっているので驚かないで下さいと、ボクに
前置きをしながらパソコンが置かれている二階に案内してくれた。
書籍や郵便物で足を滑らせてしまわないように気をつけながら二階に
上がり、部屋の前にたどり着いたボクは部屋のなかの様子を目撃して、
唖然としてしまった。
12畳くらいの部屋の中は、階段に積まれていたものと同じ種類の物が、
床から50センチくらいの高さで積もっていた。
部屋の隅のほうはさらに高く、乱雑に積み上げられていた。
本、書類、メモ用紙、郵便物の山を用心深く踏みしめながら正面の机に
置かれたパソコンに向かった。
ボク:このノートパソコンが調子悪いんですか?
客:そうなんですよ。仕事で使っているのですが、急に電源が入らなく
なってしまって、とても困っています。
ボク:わかりました。とにかく点検してみます。
まずボクはパソコンの電源を入れてみたが、なんの反応もない。
パソコンが置かれた机の真下、30センチ四方くらいは床に敷かれた畳が
見えていたので、そこを手掛かりに配線類のチェックを始めた。
積まれた書籍や郵便物、書類をすこしずつ避けながら配線を手繰ると、
ようやく、4口のテーブルタップが見つかった。
差し込まれたコンセントのどれもが、ゆるんだり抜けかかっていた。
ひとつ完全に抜けているコンセントを見つけて差し込んだあと、再び
パソコンの電源スイッチを押したところ、何事もなかったように起動を始めた。
作業中、ボクはなるべく呼吸する回数を減らそうと心掛けた。
マスクと手袋をを用意してくるんだったと悔やまれた。
作業を終わらせて代金を受け取った僕は、挨拶もそこそこに済ませた後、
急いで車に戻り持ち歩いている水筒の水で何度もうがいをした。
タオルを水で濡らして手をごしごし拭いた。
別にボクは潔癖症なんかじゃないのだけれどそうせずにはいられなかった。
世の中は広い。
自分の「ジョーシキ」が通用しない事など、掃いて捨てるほどあることを痛感した。

















